潜伏期のリレンザを使用には健康保険が適用されない

 リレンザは、インフルエンザウィルスの増殖を阻止する薬です。粉末状になっていて、吸入して摂取します。インフルエンザウィルスが主に侵入して増殖し始める部位であるのどの粘膜に直接入り込むことができるため、即効性があり、そのため飲み薬よりも高い効果が期待できます。
 インフルエンザウィルスには潜伏期があり、一般的には感染してから1日か2日程度とされます。この時期は、ウィルスの数が少ないため、症状はほとんど現れず、医療機関を受診して検査キットで調べても、感染の有無はわからないことが多いです。本来はこの時期こそ、リレンザを使いたいところですが、感染が確認できないうちに使用することは制限されています。同居する家族に感染者のいる65歳以上の高齢者や、呼吸器系に疾患のある患者などは、感染が判明していなくても予防薬として使用することができますが、健康保険は効かず、全額自己負担となります。ごく一部の都道府県では、医師の判断で、希望すれば予防薬として処方されることもあります。その場合も健康保険は効きません。ただ、感染すると5日から1週間程度は自宅療養となるため、予防薬としての需要は高いようです。
 リレンザは、予防薬として使用した時にこそ、効果が最大限に発揮できる薬とも言えます。それでも予防での処方が制限されているのは、使用頻度が増えることで、耐性を持ったウィルスが出現しやすくなるからです。現に、これまで頻繁に使用されてきた飲み薬のインフルエンザ治療薬には、耐性ウィルスが現れています。ウィルスは極めて単純な構造をしているため、容易に変異します。少しでも変異すると、違う型のウィルスということになります。同一の型なら、一度感染すると免疫が効き、当分の間は感染しなくなります。しかし、ちょっとでも変異して型が違ってくると、ひと冬の間にまた感染したりします。薬も、変異によって効かなくなることがあり、頻繁に使われる薬ほど、効かない型のウィルスが出現する可能性が高まります。
 リレンザを、予防薬として使用しておけば、ウィルスが侵入しても増殖がまったくできないわけですから、感染したとも言えなくなります。症状は現れずじまいとなり、効果が最大限に発揮されたと言える状況でしょう。しかし、こうした使用はほとんどできないため、なるべく早い時期に感染を知り、使用することが大事になります。インフルエンザ感染の直後でも判定できる技術が開発されていますので、その普及が待たれます。
 

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